溺れるナイフ 第1巻
結局、『溺れるナイフ』は全部で15巻読んだのですが、
まずは1巻の紹介をします。
作者のジョージ朝倉は名前だけみると男性か?と思ったのですが、女性のようです。
でも、一瞬男性の作者なのかなと思わせられるほど、男の子の心理描写が良くできていると思いました。
主人公たちは小学6年生なのですが、その年頃の男の子、女の子の顔立ち、体型の表現がマンガといえどもよくできているなあと思いました。
かなり画力のあるマンガ家です。
最近のマンガはわりとセリフが多い傾向があるのですが、このマンガは絵とセリフのバランスがとてもいいと感じました。
印象的なシーンがあります。
夏芽ちゃんという女の子が「ヌード写真を撮らないか?と事務所から言われた。」とコウちゃんという男の子に話を振ります。(コウちゃんの反応を見たいと思って話をするのですね。)
しかし、コウちゃんからの反応は夏芽ちゃんが考えているより、ずっとずっと大人の返答をするのです。
…………
「美」っちゅーのはよう
それ自体が力じゃけ
力持っとるなら
使いたいし
見せつけたい
思うもんやないんか?
からかい半分に話をした夏芽に対して、真剣な言葉で返したコウちゃん。
あっさり見抜かれて、負けたと感じ、赤面する夏芽ちゃん。
ここらへんの言葉ではなかなか表しづらい男と女の会話はすごくリアルです。っていっても二人はまだ小学6年生なのですが。
そして、この台詞がこのマンガの核となっています。
思春期のエネルギー、力を表現することのすごさ、難しさ。
もしかしたら、思春期に限らなくてもいいのかもしれません。
生きていたら、力をみせつけろ!出し切れ!という作者から読者へのメッセージがこの台詞に集約されているように感じました。