ナイーブな人たちのための本② 『カイン自分の「弱さ」に悩むきみへ』書評
はじめに
前回ブログのつづきです。
今日は、『カインー自分の「弱さ」に悩むきみへー』の書評です。
表紙
今回の本の表紙です。
前回の記事にも書いたんですけど、私に似ています・・・・笑・・・。
ぶっちゃけ顔もこんな感じですよ。ちなみに私はアラフォー女子だけれども。
もう、この表紙が自分を読んでいたんですよね。。。。
本って、内容は読まなければわからないものなので、第一印象としての表紙がすごく重要な役割を担っていると思うんです。
この表紙は本の内容、世界観をよく表しているいい表紙だと思います。
閉じ込められた空間に男の子が一人佇んでいる。
窓はあるけれども小さく、なぜかそこらか雲?が出入りしているよう。
雲の上には白いカメレオンが乗っている・・・。
言葉にしにくい葛藤がこの絵にはよく表れていてすごいなと思います。
カインとは?
著者が男性だからなのか、最初からすごい迫力で、迫るような文章で書かれています。クリスチャン?なのか、聖書からの比喩が多いです。
カインというのは、「旧約聖書」の「創世記」にあるカインとアベルの話にでてくるカインです。
カイン=HSPとは単純に言えないかも知れませんが、この本のとても重要な部分を引用します。
兄のカインと弟のアベルはtもに主に供え物をしたが、主はアベルの供え物を喜び、カインの供え物を喜ばなかった。
そのために、カインは憤り、嫉妬のあまりアベルを野原に連れ出して撃ち殺してしまったという恐ろしい話だ。
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カインは主に言った。
「私の罪は重すぎて負いきれません。今日、あなたがわたしをこの土地から追放なさり、私が御顔から隠されて、地上をさまよい、さすらう者となってしまえば、わたしに出会う者はだれであれ、わたしを殺すでしょう。」
主はカインに言われた。
「いや、それゆえカインを殺すものは、だれであれ七倍の復讐を受けるであろう。」
主はカインに出会う者がだれも彼を撃つことのないように、カインにしるしを付けられた。
(「創世記」 第4章 第13ー15節)
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これがカインのしるしだ。あらゆる人間は、このしるしがついているわずがの者とついていない圧倒的多数の者とに判然と区分される。カインは「地上をさまよい、さすらう者」であるが、殺されないしるしを帯びているのだ。
それは何のことだろう?単なる悪人ではない。彼が共同体から追放されたのだが、殺されることのない者、死ぬことさえできぬ者、孤独を噛みしめてひとりで生き抜くしかない者、みずからの運命に対してーヨブと同様ー「なぜなのだ?」と問いつづけて生きるしかない者なのだよ。
きみの額にはカインのしるしが刻まれている。それは何らほこらしいものではない。社会には不適格というしるしなのだから。
まあ、、、この文で抽象的に全部が説明されているよなぁと思う。。。。
意味がわからなくても、この重苦しい息遣いが伝わってくれれば、ナイーブな人間としてはうれしいです。
答えのない著者の葛藤
そして、この本の中では、生き抜くために、
親をすてる
なるべくひとの期待にそむく
怒る技術を体得する
自己中心主義を磨きあげるなどと
ナイーブで弱い人にいろいろ指南してくれるのです。
著者は、
「きみ」を殺して、僕は生き延びてきたという言い方をするんですね。
つまり教えてくれた方法は「きみ」を少しずつ殺していく方法なんです。
この部分、すごく切なくなりました。
さらに著者はこう言います。
だけれども、本当にこれでよかったのだろうか?と。
やはり、きみのままで、不器用なままで、弱いままで、生き延びる道はあったのではないか?
この本の最後の最後のページに漏らしていて、とても深い葛藤と苦悩にあふれています。
文体も素晴らしく美意識の高い文だけれども読みやすく、かつての「きみ」に向かってやさしく、語りかけてきます。
私的に印象に残ったこと
すごく印象に残ったのはね、
マジョリティはきみごときの迷惑なんて、なんとも思っていない。だから彼らは生きていられるのだ。
というところです。
へっ??そうなんだぁ〜〜平気なんだ〜〜と思いました。
っていうか、そう思った時点で、確実に自分はマイノリティなんだと思って切なくなりました。。。。。。。
で、しかもマイノリティの人間がマジョリティの人間のように鈍感にずぶとくすることはできないみたいで、演技してもすぐばれるし、無理しているのがよくわかるそうです。
・・・・がっくし。。。。
まとめ
文章の運びに著者の美が込められていて、ナイーブではない人でも一見の価値のある本だと思いますよ。
ナイーブさんの世界観をみたい、理解してみたいと思ってくださるなら、この本は自信持っておすすめします!
思うこと、考えさせられることが多いかと思いますよ。